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はじめに
フランチャイズ(FC)は、ブランド力や経営ノウハウを活用できる一方で、初期費用や継続的な支払いが発生するため、正確な会計処理と税務対応が求められるビジネスモデルです。加盟金・保証金・ロイヤリティといった費用は、処理を誤ると利益や納税額に影響を与えるだけでなく、税務調査の際に指摘を受けるリスクもあります。
本記事では、フランチャイズ加盟に関わる主な費用の会計処理と税法上の取り扱いについて解説し、実務で注意すべきポイントを整理します。
フランチャイズ加盟金の会計処理
1. 長期前払費用として資産計上する場合
- 対象:加盟金が20万円以上の場合
- 処理方法:「長期前払費用」として資産計上し、契約期間または5年間で償却します。
仕訳例(加盟金500万円/5年償却)
- 支払時:
借方:長期前払費用 5,000,000円 / 貸方:現預金 5,000,000円 - 決算時(1年分償却):
借方:長期前払費用償却 1,000,000円 / 貸方:長期前払費用 1,000,000円
2. 支払手数料として処理する場合
- 対象:加盟金が20万円未満の場合
- 処理方法:支出年度に「支払手数料」として一括計上
仕訳例(加盟金15万円)
借方:支払手数料 150,000円 / 貸方:現預金 150,000円
消費税の扱い
加盟金は 課税仕入れ として処理します。
ロイヤリティの会計処理
ロイヤリティは、ブランド利用や経営支援の対価として毎月または売上に応じて支払う費用です。
- 勘定科目:「支払手数料」または「ロイヤリティ」
- 仕訳例(売上1,000万円の5%を支払う場合)
借方:支払手数料(ロイヤリティ) 500,000円 / 貸方:現預金 500,000円
消費税の扱い
ロイヤリティも 課税仕入れ として処理します。
保証金の会計処理
保証金は契約解除時に返還される性質を持つため、「差入保証金」として資産計上します。
- 支払時(100万円の場合)
借方:差入保証金 1,000,000円 / 貸方:現預金 1,000,000円 - 返還時
借方:現預金 1,000,000円 / 貸方:差入保証金 1,000,000円
消費税の扱い
保証金は 不課税取引 となります。
税法上の取り扱い
加盟金
- 税務上は「繰延資産」に分類され、原則5年間(契約期間が5年未満ならその期間)で均等償却が必要。
- 会計処理とのズレが生じやすいため、税務調整が必要になるケースあり。
ロイヤリティ
- 定期的に発生するため、支払年度の損金に算入可能。
- 税務調整は通常不要。
実務上の注意点
加盟金とロイヤリティの区別
加盟金・保証金は初期費用
ロイヤリティは継続費用
→勘定科目を誤ると損益計算に誤差が出るため注意が必要
契約内容の正確な把握
契約書に記載された支払条件・割合を常に確認
契約変更時は速やかに会計処理を修正
税務調整の必要性
加盟金については、会計と税務で異なる処理を行う場合があるため、申告時の調整を忘れないこと
おわりに
フランチャイズにおける加盟金・ロイヤリティ・保証金の処理は、企業の経営成績や納税額に直結します。特に加盟金の繰延資産処理は、会計と税法で相違があるため、実務上のポイントを押さえて正確に処理することが重要です。
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